学校に行けなくてもありのままでいい 子どもの心救う「居場所」の力
その空間を訪ねると、泥遊びや追いかけっこに夢中な子どもたちの歓声が出迎えてくれる。そしてキラキラと輝くような彼らの笑顔に、こちらもつられてほほえんでしまう。
川崎市高津区の「川崎市子ども夢パーク」、通称「ゆめパ」は、子どもたちとその家族が自由に過ごすための設備が備わる、子どもの天国のような空間だ。自然豊かな約1万平方メートルの敷地内に、屋外のプレーパークや雨でも遊べる全天候広場「たいよう」、いつでも寝転がれる部屋「ごろり」などがある。
見るからに素朴なゆめパだが、市内外から見学者が絶えず、海外からも視察に訪れる。ここは単なる遊び場ではなく、市が全国に先駆けて2001年に施行した「子どもの権利条例」を立体的に「見える化」するため、03年に公設民営方式で設置した社会教育施設。「子どもの権利」を体感する空間というわけだ。
■条例を形にした「子ども夢パーク」
「ありのままの自分でいる権利」「自分を守り、守られる権利」「自分で決める権利」――。市の条例は、見落とされてきた子どもたちの当然の権利を明記し、保障する。さらに「居場所」の重要性も説く。子どもたちが自分を取り戻し、安心して人間関係を築ける居場所が大切と考え、「市は(略)居場所の確保及びその存続に努める」とする。
この居場所も、ゆめパの中で「見える化」されている。学校に通わない子どもたちのための学びと育ちの場として、やはり公設民営方式で設置された「フリースペースえん」。現在40人前後の子どもたちが通い、外遊びや工作などに興じ、生活を通して学んでいる。
■空間が「大丈夫」というメッセージ
いじめや虐待、そしてコロナ…