渡良瀬遊水地のコウノトリのペアが繁殖期 4年連続の自然繁殖に期待
渡良瀬遊水地で暮らすコウノトリのペア、「ひかる」(雄6歳)と「レイ」(雌3歳)がようやく繁殖期に入ったようだ。2羽は巣繕いをしたり、交尾をしたりと抱卵に備えた準備を進めている。
昨夏、「セラ」(雄)と「ひなた」(雌)が独り立ちし、ペアにとっては穏やかな水入らずの季節を迎えるはずが、昨秋は様子が違った。「レイ」の背中に着けられていた発信器のハーネスの一部が切れ、羽の動きが不自然になってしまったからだ。
小山市は千葉県野田市の「こうのとりの里」の応援を得て確認し、捕獲して外すことも検討したが、リスクを勘案して静観。結局、約1カ月後に自然に外れた。この間、「レイ」のそばに寄り添っている「ひかる」の姿が目立った。
なかなか登場しないペアに気をもむ
昨年11月には香川県で鳥インフルエンザで死んだコウノトリが見つかった。渡良瀬遊水地周辺でも発生があり、関係者は気をもんだ。ペアが人工巣塔の上になかなか登場しないのが、気がかりだった。
年が変わり、例年のような行動が見られるようになってきた。4年連続の自然繁殖への期待が膨らむ。「ひかる」「レイ」のほかにも数羽が遊水地周辺や利根川流域で常に確認されるようになり、IPPM―OWS(コウノトリの個体群管理に関する機関・施設間パネル)の保全セミナー2023では「関東個体群」という呼称が登場した。
渡良瀬遊水地第1調節池に栃木市が設置した人工巣塔で、巣作りを始めた「カズ」(雄3歳)と足輪なしの個体(雌雄、年齢不明)は谷中湖で一緒に過ごす姿が見られるが、実際に繁殖まで進むかはわからない。(根岸敦生)
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