満開の桜を描く人と出会い、石巻に 豊かな食材で、まちににぎわいを

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岡本進
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現場へ! 飛びこんで12年③

 午前4時半。月明かりが海面を照らす。宮城県石巻市にある牡鹿(おしか)半島の折浜(おりのはま)漁港にネギ(41)はいた。近海の定置網漁にかかった真鱈(まだら)が水揚げされると、ネギは頭からワイヤを差し入れて神経締めにした。「魚の死後硬直を遅らせ、鮮度を長引かせることができるんです」

 本名は今村正輝(まさてる)。市内で和食店を開いている。東日本大震災が起きたときは千葉県松戸市で暮らしていた。2カ月後、ボランティアとして石巻に入った。30歳だった。

 震源に近い石巻の多くの街は津波にのみこまれ、約3700人もの犠牲者が出た。千人ほどのボランティアが連日駆けつけた。仲間内で呼びやすいように互いに2文字の略称をつけることになった。「マサ(正)」は大勢いる。昔、古着販売店で値切ってばかりいたことから友人がつけた「ネギ」になった。

 市の中心街で精肉店を営む山…

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