社外取締役を増やすことが、コーポレート・ガバナンス改革の「切り札」として期待されている。ただ、香港の投資ファンド「オアシス・マネジメント」創業者のセス・フィッシャー最高投資責任者(CIO)は「多くの企業でまだ有効に機能していない」と話す。女性取締役を置かない上場企業の経営陣は「交代するべきだ」とも。日本企業のボード(取締役会)のあるべき姿について、「物言う株主」のトップであるセス氏に尋ねた。
――日本企業は総じて成長という点で伸び悩み、不祥事も相次いでいます。経営を監督する社外取締役は多くの日本企業で有効に機能していません。
「社外取締役としての任期が長すぎたり、あるいは経営陣の古くからの友人だったりして、まだ本当に独立した社外取締役を持てていない会社が多い。ある日本企業の取締役から聞いたことがあるが、取締役会議長の言うことには賛同しなければならないと感じている社外取締役もいるようだ。取締役会自体が短すぎ、十分なディスカッションが行われていないことも原因だ」
取締役会が機能しない責任は
――それは社外取締役の能力の問題なのか、それとも上手に活用しない取締役会の問題なのか、どちらなのでしょう。
「まず取締役会自体が機能していない。そしてそれは取締役会を運営する責任者である議長の責任だ。企業の役員会には長い歴史がある。社外取締役が企業に登用される初期の段階は、弁護士や会計士といった専門家が多い。そうしたプロフェッショナルたちは会社と非常に長い関係を持っている人たちが少なくない。本当の意味での独立した取締役とはいえない。いわゆる『ボード1.0』という段階だ」
――日本企業の多くはまだ1.0の段階でしょうか。
「いろいろある。社外取締役…
- 【視点】
長い間、取締役の中に女性を入れてこなかった企業の問題が指摘されています。女性の商品をつくる会社なのに、女性役員を入れないでどうしてビジネスをできるのかと。 まだ女性役員のいない企業の経営陣に読んで欲しい記事です。付け足すと、私の勤務し