大地震で被害のシリアに日本から義援金を 内戦で支援行き届かぬ恐れ
トルコとシリアを6日に襲った大地震では、計4万7千人以上が犠牲になり多くの人が家を失った。特に、シリアでは12年続く内戦で国土が分断され、支援が行き届かない恐れがある。こうした状況に対処するため、現代シリア政治が専門の青山弘之・東京外国語大学教授が、シリアに特化した被災者支援キャンペーン「サダーカ・イニシアチブ」を立ち上げた。
長年、シリアの紛争終結と和平実現に向けて活動しているNGO「シリア和平ネットワーク」の協力を得て、義援金や支援物資を募って現地に送る予定だ。
地震で被害がより大きかったのはトルコだが、シリアは長引く内戦で国土が各支配勢力によって分断されているうえ、長年の制裁の影響でもともと生活が困窮している人が多い。
支援の目も世界的にトルコに向きがちで、「支援が行き届かない恐れや今後の復興を考えると、シリアの方がより深刻な状況ではないか」(青山教授)と考え、今回の活動を決めたという。青山教授は「政治的なポジションは抜きにして、シリアを一つの国として捉えて支援するということを行動で示したかった」と話し、「シリアへの全方位での支援」にこだわったという。
義援金は各勢力の支配地域に行き届くように工夫した。100万円集まるごとに、日本にあるシリア大使館を通じてシリア・アラブ赤新月社とシリア開発信託に35万円、レバノン・シリア福音協会に35万円、シリア政府の支配地以外で活動する日本のNGOなどに30万円がそれぞれ寄付される。
義援金の用途は、シリア和平ネットワークのHP(https://syriapeacenet.themedia.jp/)などで随時、報告する予定だ。
活動は今年8月までの半年間を予定しているが、状況しだいではそれ以降も続けるという。当面は現地のニーズを踏まえ、義援金のみを受け付ける。
「サダーカ」はアラビア語で「友情」を意味する。
青山教授は「今年はシリアと日本の外交樹立から70年という節目の年。日本人にも身近な地震を通じ、シリアへの関心や思いを巡らせてもらえれば」と話した。
振込先一覧
義援金の振込先は以下の通り。
【ゆうちょ銀行から】
記号 10150
番号 51877541
口座名 シリアワヘイネットワーク
【ゆうちょ銀行以外から】
銀行名 ゆうちょ銀行(金融機関コード:9900)
支店名 〇一八(ゼロイチハチ)
口座種類 普通預金
口座番号 5187754
口座名義 シリアワヘイネットワーク
【問い合わせ先】
シリア地震被災者支援キャンペーン「サダーカ・イニシアチブ」事務局(sadaqa.initiative.70@gmail.com)(植松佳香)
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