第26回利益は「社中」で分け合え 原丈人さんが推す「中間層のための会社」
聞き手・加藤裕則 稲垣千駿
「会社は株主のもの」という考え方に、真っ向から反対する人がいる。コーポレート・ガバナンス(企業統治)を研究する財団を運営する原丈人氏だ。米国を拠点に活動する実業家で、過去に内閣府の参与も務め、岸田文雄首相にも近いとされる。企業統治のあり方や、岸田政権の「新しい資本主義」について聞いた。
――「会社は株主のもの」という意見は根強いものがあります。
「それは米国の考えです。株価対策として人を減らしたり、配当や自社株買いなど利益を超える株主還元策をとったりします。異常な状態だと思います。会社は公器であって、『株主のもの』という考えと決別すべきだと考えます」
四半期決算の義務づけ廃し、新たな指標を
――会社は何のためにあるのでしょうか。
「事業を通じて社会を良くするために会社は存在し、健康で豊かな中間層を増やすことが目的です。考えてください。会社は社員、顧客、長期に株を持つ人、地域社会などのおかげで利益をあげることができます。これらの人たちを私は『社中』と呼んでいます。利益はこの社中でフェアに分配すべきです。株主の利益は結果であって目的ではないのです」
――金融庁が2015年に定…