打ち上げ直前の異常検知は「電圧低下」 H3ロケットでJAXA調査
玉木祥子
打ち上げが中止になった新型ロケット「H3」について、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は22日、主エンジンに電源を供給する系統で打ち上げ直前に電圧が落ち、異常として検知していたと、文部科学省が開いた有識者会議で報告した。さらに詳しく原因を調べ、予備期間の3月10日までの打ち上げをめざすとしている。
JAXAによると、ロケットの第1段にある主エンジン「LE9」に電源を供給する電気系統で電圧が落ち、第1段全体の制御用機器が検知した。そのため、発射0・4秒前に着火予定だった2本の固体ロケットブースターに着火の信号が送られなかった。電圧が落ちた理由として、系統をつなぐスイッチの不具合や地上からの電気的なノイズなどの可能性が考えられるという。岡田匡史・プロジェクトマネージャは「メーカーとも協力しながら調査中。予備期間内の打ち上げに向けて全力で取り組む」と話した。
H3は17日午前10時37分に鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上がる予定だった。18日に発射点から組み立て棟に移動した。LE9や固体ロケットブースターに異常はなく、機体や搭載していた地球観測衛星「だいち3号」にも損傷はないという。(玉木祥子)
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