2%目標の共同声明「ただちに見直す必要ない」 植田・日銀総裁候補
山本恭介
日本銀行の次期総裁候補で経済学者の植田和男氏(71)は、24日の衆院議院運営委員会で、2%の物価上昇目標を掲げる、政府と日銀の共同声明を維持するかどうかについて「ただちに見直す必要があるとは考えていない」と述べた。
日本維新の会の住吉寛紀氏の質問に答えた。政府と日銀は2013年1月、2%の物価上昇の早期達成の目標を盛り込んだ共同声明を発表。黒田東彦(はるひこ)総裁のもとで日銀は同年4月、世の中に大量のお金を流して金利を低く抑える「異次元」の緩和策を始め、緩和を続ける根拠となってきた。
政府内では、共同声明の存在が日銀から柔軟な対応を奪っているとの見方もあり、見直すかどうかが焦点となっているが、植田氏は「13年以降、政府と日銀がそれに沿って必要な政策を実施し、デフレではなくなってきた。政策連携が成果を上げてきた」と評価。2%の物価上昇の早期実現をめざすとした表現についても、「インフレ率にも少し良い動きが出始めている。この芽を大事にして育てていくことに当面は力を注ぎたい」として、見直しに否定的な考えを示した。(山本恭介)