ウクライナ侵攻で「命の線引き」浮き彫りに 関心の格差に潜む差別
ウクライナ侵攻から1年、被害を受けた街の様子や避難者の声など、さまざまな情報が今日までメディアで流れ続けている。東南アジアや中東などを取材しているフォトジャーナリストの安田菜津紀さんは、ロシアが軍事介入したシリアと比較した時の「関心の格差」には「人種差別的な意識」があると指摘する。
安田さんが思い出すのは、侵攻直後、欧米のメディアで「私たちと同じ青い目と金髪のヨーロッパ人が殺されている」といった発言が報じられたことだ。シリアの避難民のキャンプを訪れた際に言われた言葉から、「置き去りにされている側の人々は、まなざしの格差をひしひしと感じています」と話す。
さらに、こうした差別的なまなざしは、日本もひとごとではないという。政府はウクライナからの避難者を手厚く支援する一方で、難民認定に厳しく、入管難民法の改定によって難民申請者を強制送還しやすくしようとしている。
安田さんは、ウクライナへの支援は「とても大事なこと」だが、「安易な命の線引きをしてはばからないような価値観を放置しているとも言える」と支援の格差を批判。「ウクライナの人たちの訴えを、継続的な支援や、社会の制度や政治につなげていかなければいけない」と訴えた。(田中聡子)
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やすだ・なつき
認定NPO法人「Dialogue for People」副代表。東南アジア、中東、アフリカなど国内外で難民や災害の取材を進める。
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