スマホ「1円販売」は独禁法上問題の恐れ 背景に販売店へのノルマも

若井琢水
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 公正取引委員会は24日、スマートフォン端末の「1円販売」の実態を調べた報告書を公表した。採算を度外視した大幅な値下げが、中古端末市場などに悪影響を与えれば、独占禁止法上問題となるおそれがあると指摘した。その背景に、携帯大手が販売代理店に課す「ノルマ」の存在があることにも言及した。

 1円販売は、iPhoneなど新品のスマホ端末を極端に値引きして販売する手法だ。公取委NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルの大手4社のほか、販売代理店や中古端末の取扱事業者など約300社に対し、書面などで調査を実施。昨年1~6月の1円販売の費用負担の実態や影響について回答を得た。

 報告書によると、販売代理店の多くが、1円など極端な値下げ販売を実施していた。値下げによってスマホ端末は原価割れの価格になっていたが、赤字分は、販売代理店と取引関係にある携帯大手が通信料収入やオプションの収入などで補う構図になっていた。

 公取委は、採算を度外視した価格での販売は、回線契約を伴わない「SIMフリー端末」を扱う家電量販店や中古販売店が「価格面で対抗できず、顧客を獲得できなくなるおそれ」があり、独禁法上問題になるおそれがあると指摘した。

 加えて今回の調査では、販売代理店が携帯大手の意向で1円販売を実施したケースが目立った。背景として、販売代理店に対する通信契約の獲得数の過剰なノルマがある。携帯大手が優越的な立場を利用して、代理店に大幅な値引き販売の実施を余儀なくさせた場合も、独禁法上問題となるおそれがあるとの認識を示した。(若井琢水)

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