第34回「貧しくても親が幸せくれた」宮城大弥 子ども基金作った願いを語る

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 少年時代、両親にたずねたことがあった。

 野球をやめた方がいい?

 家計が苦しいことが、子どもながらにわかった。

 道具を十分に用意することすらままならない状態だった。

 ただ、両親は野球を続けるようにと言ってくれた。

 プロ野球オリックスの主力投手で日本代表の宮城大弥(21)は11日、ワールド・ベースボール・クラシックWBC)チェコ戦に登板して「めちゃめちゃ緊張しました」と言いながら、5回1失点に抑えた。

 沖縄県宜野湾市で生まれ育った。両親と妹の4人暮らしだった。

 「アパートの6畳1間でした。部屋が狭かったので、冷蔵庫はベランダに出していたんです。テーブルが部屋の真ん中にあって、寝るときはどかして布団を敷いていました」

2022年2月、当時20歳だったオリックス宮城大弥は地元・沖縄でスポーツを続ける子どもたちを支援する目的で「一般社団法人 宮城大弥基金」を設立した。そこには、自らが子ども時代に味わった経験を基にした、子どもたちへのメッセージが込められていた。

 4人が床に並べず、両親のどちらかが交代で座って寝た。おやつにするパンの耳をもらって帰ることも珍しくなかった。

父の我慢と母のふるまい 社会に伝えたいこと 

 「みんながゲームを持ってい…

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    中川文如
    (朝日新聞スポーツ部次長)
    2023年2月27日11時30分 投稿
    【視点】

    宮城一家の物語に触れて、考え込んでしまいました。宮城選手、お父さん、お母さんの意志の強さ、どこから来るのか。 自分たちの境遇を他者と比べない。 そこに尽きるのではないかと思います。 子に親は選べません。なぜ、こんな貧乏な家に生まれてし

    …続きを読む
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    後藤太輔
    (朝日新聞スポーツ部次長=子ども、社会)
    2023年2月27日12時9分 投稿
    【視点】

     どんな体験をしてきたかは、子どもの成長に大きく影響します。経済的に苦しい家庭でも、子どもにとって熱中できる体験があり、それを仲間と一緒にでき、親や周囲の大人がそれを認めてあげることによって、子どもたちは生きる力を身につけることができるとい

    …続きを読む
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