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知事を動かした高校生の手紙 面会制限続く小児病棟に「WiFiを」

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伊藤繭莉
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 【千葉】医師や看護師をめざす高校生が県こども病院にWiFiの設置を求め、活動している。コロナ禍で面会制限が続く中、「入院する子どもたちがオンラインで家族と話したり、授業を受けられたりできるように」。熊谷俊人知事に今月、手紙を出した。

 県立佐倉高校2年の尾川柚葉さん(17)と常盤桃香さん(16)、布留川光理(ひかり)さん(17)が「探究学習」の一環で始めた。社会的な課題を見つけて解決のために行動する授業で、昨年8月に国際医療福祉大学の医師や学生ボランティアに話を聞いた。

 学生が入院中の子ども向けに学習支援やイベントを企画したくても、WiFi環境がないことを知った。布留川さんは「WiFiがあれば病棟外とつながり、治療への不安や家族、友人と会えないストレスを軽減できる」と話す。

 3人が調べると、県内で患者が使えるWiFiがある病院は少なかった。入院患者の家族が高額な通信料を負担していることも知った。まずは小児病棟の設置が必要と考え、県こども病院に問い合わせた。

 医師や看護師らと話してWiFiの利点を訴えると、病院側は初期費用を見積もり、1800万円程度と試算した。3人はネットで資金を募るクラウドファンディングを予定しているが、WiFiを設置できても維持費がかかる。そこで熊谷知事に手紙を書いた。

 「県から維持費を出してもらえませんか」「私たちの活動やWiFiのメリットなどを説明する場を設けていただけませんか」

 常盤さんは「子どもたちが病院で快適に過ごせるようになってほしい」。尾川さんは「入院で広がってしまいがちな友達との距離を縮められたら」と話す。

 熊谷知事は取材に対し、「入院患者の療養環境の向上は重要な課題で、特に小児患者にとっては学習機会の確保の観点からも有益なので、病院局には前向きに検討するよう指示した」とのコメントを出した。

     ◇

 がん経験者や筋ジストロフィーの患者らが2021年1月、「#病室WiFi協議会」を発足させた。悪性リンパ腫闘病したメンバーの1人、フリーアナウンサーの笠井信輔さん(59)は「小児病棟の要望が特に大きい」と指摘する。

 笠井さんによると、コロナ禍…

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