【詳報】ウクライナ侵攻63、2月25日~3月8日(日本時間)の動き

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 ウクライナ東部ドネツク州の激戦地バフムートでは、侵攻したロシア軍がウクライナ側を包囲しつつあり、市街でも戦闘が行われているとみられます。ただ、ウクライナのゼレンスキー大統領は撤退よりも増援を選んだことを明らかにしました。戦闘はさらに激しさを増しそうです。

(タイムスタンプは日本時間、括弧内は現地時間)

【ツイート分析】SNSが伝えた戦場 ウクライナ侵攻1年

SNSはウクライナ侵攻でどんな役割を果たしたのでしょうか。戦場の様子や解放の喜び、そしてロシアに不都合な事実。この1年、世界を駆け巡ったツイートを振り返ります。

■■■3月8日(日本時間)■■■

23:30(キーウ8日16:30)

国連トップ、穀物輸出の合意延長は「極めて重要」 キーウで会見

 国連のグテーレス事務総長は8日、訪問先のキーウで記者会見し、ウクライナ産穀物の輸出に関する合意が18日に期限を迎えることについて「延長することが極めて重要だ」と語った。

 ウクライナの黒海を通じた食料輸出はロシアの侵攻で滞り、世界的な食料価格の上昇の一因となった。昨年7月に仲介役の国連、トルコとロシア、ウクライナがそれぞれ合意し、8月から輸出が再開された。ただ、ロシアは米欧が制裁を解除しなければ、期限を迎える合意の延長を認めないと揺さぶりをかけている。

 グテーレス氏は合意によって約2300万トンの穀物が輸出でき、食料価格の引き下げに貢献したと指摘。合意の延長は「世界の食料安全保障と食料価格にとって不可欠だ」と述べた。

 また、捕虜となったウクライナ兵がロシア軍に処刑されたとみられる動画の存在を挙げ、「戦時下の国際法が厳格に尊重されなければならないことを改めて痛感させられた」と語った。

22:00(ブリュッセル8日14:00)

EUの「一時保護措置」、ウクライナ市民約376万人

 欧州連合(EU)は8日、ロシアの侵攻でウクライナ国外に逃れ、EU域内で「一時保護措置」を受けているウクライナ市民が、昨年末時点で約376万人に上ると発表した。

 EUは昨年3月、ウクライナを逃れた人について、難民認定の手続きを省き、EU域内で一定期間の滞在を許可する「一時保護措置」をとった。加盟27カ国で、就労や子どもの教育の権利などが保障される。

 発表によると、今年1月時点で措置を受けている人は、ドイツで約97万1千人、ポーランドで約96万9千人、スペインで約16万2千人、ブルガリアで約14万9千人などとなっている。

 また、ウクライナ全体の子どもの約5人に1人がEU域内に逃れており、昨年9月時点で約50万人がEU域内の教育システムを利用しているとした。

 欧州委員会のスキナス副委員長は、「ウクライナの子どもたちへの教育は、ウクライナが戦争に勝利した後の国の再建に欠かせない。そのための投資の意味もある」と述べた。

20:53(ストックホルム12:53)

NATO事務総長「ロシア、より多くの戦力投入」

 北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長は8日、ロシア軍が攻撃しているウクライナ東部の激戦地バフムートについて「数日以内に陥落する可能性も排除できない」と発言した。AFP通信が伝えた。

 同通信によると、ストルテンベルグ氏は欧州連合(EU)の国防相会議が開かれていたストックホルムで、報道陣に「ロシアはより多くの戦力を投入し、質を量で補おうとしている」と指摘。ロシアが人海戦術によって多大な損失を出した末に、バフムートを掌握する可能性に言及した。

 ストルテンベルグ氏は、バフムートの掌握が必ずしも侵攻の転換点にはならないとしつつ、「ロシアを過小評価すべきでない。我々はウクライナへの支援を継続しなければならない」と述べたという。

19:45(ブリュッセル8日11:45)

ワグネル創設者の母へのEU制裁無効 欧州司法裁判所が判決

 欧州司法裁判所(ルクセンブルク)は8日、ロシアの民間軍事会社「ワグネル」の創設者、プリゴジン氏の母ビオレッタ・プリゴジナさんに欧州連合(EU)が科した制裁について、無効とする判決を下した。

 EUは、プリゴジン氏が設立した企業をプリゴジナさんが所有するなど、2人に「ビジネス上のつながりがあった」と指摘。ロシアがウクライナに侵攻した昨年2月、息子と同様にプリゴジナさんもEU域内の資産を凍結するなど制裁対象に加えた。

 これに対し、プリゴジナさん側が異議を申し立てていた。

 欧州司法裁はこの日の判決で、プリゴジナさんが2017年以降、問題の会社の所有者でなくなっている点などを指摘。制裁決定の時点で、2人の関係は「家族関係のみに基づいている」として、EUの制裁を無効と判断した。

16:15(ドネツク州09:15)

東部ドネツク州で初の民間人死傷者0人

 激戦が続くウクライナ東部のドネツク州のキリレンコ知事は8日、ロシアのウクライナ侵攻が昨年始まって以来、州内で初めて民間人の死傷者が確認されなかったとSNSに投稿した。

 キリレンコ氏は毎朝、過去24時間の州内の被害状況を公表している。キリレンコ氏によると7日から8日にかけては、州内の民間人の死傷者が0人だったという。一方、ロシア軍の攻撃による住宅の損壊被害などはあったとして、「状況は緊迫したままだ」と指摘した。

14:00(バフムート07:00)

ワグネル創設者「バフムート東部全域を掌握」

 ロシアの民間軍事会社「ワグネル」創設者のプリゴジン氏は8日、ウクライナ東部の激戦地バフムートをめぐり、「ワグネルの部隊が東部全域を掌握した」とSNSに投稿した。

 プリゴジン氏は、バフムートを南北に流れる川の東岸地域を掌握したと主張している。米シンクタンク戦争研究所も7日、ロシア側が同地域を掌握した可能性が高いとする分析を公表していた。

10:15(ワシントン7日20:15)

ロシア、バフムート東部を掌握か

 米シンクタンク戦争研究所(ISW)は7日、ロシア軍がウクライナ東部の激戦地バフムートの東部を掌握した可能性が高いとする分析を公表した。

 ISWは現地の映像から、ロシア軍が東部で陣地を広げたことを確認。ウクライナ軍が東部から戦略的な撤退を行い、ロシア軍がバフムートを南北に流れる川の東岸地域を掌握したとみられるという。

 一方、ウクライナのゼレンスキー大統領は7日、米CNNのインタビューで、ロシア軍がバフムートを掌握すれば、クラマトルスクやスラビャンスクといったウクライナ側の主要拠点への道が開かれることになると主張。バフムートでの抗戦を続ける意思を改めて示した。

 ISWはロシア軍が、バフムートを越えてさらに進軍するのに必要な戦力を欠いている可能性が高いと指摘。バフムートを掌握したとしても、その後失速すると分析している。

06:00(モスクワ8日00:00)

プーチン氏「祖国防衛の使命選んだ」 国際女性デーのお祝いで

 ロシアのプーチン大統領は8日、国際女性デーの国民向けビデオメッセージで「祖国を守るという最高の使命を選んだ女性兵士を祝いたい。あなたの勇気や決断は、筋金入りの兵士さえ驚かされる」などと述べ、ウクライナ侵攻に参加する女性兵士をたたえた。

 プーチン氏は女性に向けて、「あなたは心を奮い立たせ、信仰を抱かせ、距離があっても家にいるように我々の英雄を助ける。あなたの思いやりと慈悲は奇跡を起こす」と呼びかけた。

 ロシアでは国際女性デーは祝日で、旧ソ連時代から女性への感謝や愛情を示す重要な日となっている。

05:39(ベルリン7日21:39)

パイプライン破壊、ウクライナ人所有ボートで作戦か 独報道

 ドイツ捜査当局が、ロシアとドイツを結ぶ天然ガスパイプライン「ノルドストリーム」(NS)の破壊工作に使われたと思われるボートを特定したと、公共放送ARDとツァイト紙が7日、報じた。ボートはウクライナ人が所有するポーランドの会社から借りられたものだという。ウクライナ人の関与に見せかけられた可能性もあるとしている。

 報道によると、秘密作戦は男性5人、女性1人のチームで実行された。機材を積んでドイツ北部の港をボートで出港し、バルト海の海底で2022年9月26日夜、NS1とNS2の4本のパイプのうち、3本を爆破した。捜査当局は船室のテーブルの上に爆薬の痕跡を発見したという。

 ただ、ボートのレンタルに使われたパスポートは偽造で、国籍も不明。容疑者は特定できていない。ウクライナ人の関与があったと見せかけるために証拠が残された可能性もあるという。

 ウクライナのポドリャク大統領府長官顧問は7日、ツイッターで「ウクライナはバルト海の事故とは無関係だ」とつづった。

04:19(ブダペスト7日20:19)

ハンガリーがウクライナの軍医を訓練

 ハンガリー国防省は7日、ウクライナの軍医の訓練養成を担う方針を明らかにした。ウクライナのウニアン通信が同日伝えた。

 他の欧州連合(EU)加盟国と異なり、権威主義的な傾向の強いハンガリーのオルバン政権は、ロシアの立場に配慮する言動を繰り返し、ウクライナへの武器供与にも否定的だ。同通信によると、同国防省は今回「ハンガリーの立場に変化はなく、和平を求めており、戦闘のエスカレーションには反対する。だから武器や兵士は送らず、人道的な目的に基づく軍医の訓練の一翼を担う」と述べた。

01:29(プラハ7日17:29)

ロシア・チェチェン共和国首長の馬が盗まれる

 ロシア・チェチェン共和国のカドイロフ首長がチェコで所有していると見られる馬が盗まれたと、同国のメディアが7日伝えた。地元警察が捜査に乗り出しているという。

 チェコのメディア「ブレスク」によると、馬は16歳のサラブレッドの種馬で、チェコ北部クラブチツェ村で飼われていた。3日から4日にかけての夜、馬小屋から消えていたという。

 カドイロフ氏は競走馬の馬主として知られる。同メディアによると、2012年に同氏がドイツから購入したこの馬は、レースに36回出て9回優勝し、120万ユーロを稼いだという。

00:30(ワシントン7日10:30)

パイプラインのガス漏れ、親ウクライナ派の工作か

 米紙ニューヨーク・タイムズは7日、複数の米当局者の話として、ロシアと欧州をつなぐ天然ガスの海底パイプライン「ノルドストリーム」が昨年9月にガス漏れを起こしたことについて、親ウクライナ派グループの妨害工作だったことを示す新たな情報があると報じた。

 ウクライナのゼレンスキー大統領や政権幹部が工作に関わっていたり、実行部隊が政権幹部の指示を受けたりしていた証拠はないという。ただ、ロシアが欧州に簡単に天然ガスを売れるようにする海底パイプライン計画は、ウクライナや友好国にとっては国家安全保障上の脅威だとして、ウクライナ側は以前から計画に反対していた。このため、ウクライナ側には論理的に最も潜在的動機があるとみる当局者もいるという。

 一方で、実行部隊のメンバーなどは特定されておらず、ウクライナ政府とつながりのある部隊の工作である可能性はあるが、確固たる結論は出ていないという。工作員はウクライナ人かロシア人、またはその両方とみられ、米国人や英国人は関わっていないと、複数の米当局者は話しているという。

 米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報担当調整官は7日の電話会見で、報道にはコメントせず、各国が進める捜査の結論を待つ考えを示した。

■■■3月7日(日本時間)■■■

23:38(モスクワ17:38)

ベラルーシ大統領が国産ミサイルを誇示

 ウクライナ侵攻を進めるロシアを支援するベラルーシのルカシェンコ大統領は7日、政府幹部らの授章式で、「一昨日、我々の対空ミサイルの実験をし、想定通りだった」と述べ、国産ミサイルの開発が順調だと強調した。ベラルーシ国営ベルタ通信が伝えた。

 実験をしたのは、対空ミサイルシステム「ブーク」のミサイルで、無人航空機に命中したという。新型ミサイルにより、射程が最大70キロになり、ステルス機や弾道ミサイルにも対応するとしている。

 ベラルーシは侵攻には参加していないが、ウクライナ攻撃の拠点を提供するなどロシアを支援し、国民には欧米からの脅威を訴えている。国産ミサイルを誇示することで、国民に軍事的脅威に対抗する姿勢を示す狙いがあるとみられる。

21:38(ニューヨーク07:38)

国連事務総長がキーウ訪問へ

 国連のドゥジャリク報道官は7日、グテーレス事務総長がウクライナを訪問するために隣国のポーランドに到着したと明らかにした。

 グテーレス事務総長は8日、ウクライナの首都キーウでゼレンスキー大統領と会談し、ウクライナ産穀物の輸出に関する合意の延長について協議する予定だという。

18:51(モスクワ7日12:51)

「2月のウクライナ軍の死傷者は1万1千人以上」 ロシア国防相

 ロシアのショイグ国防相は7…

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