第24回技能実習制度、建前と実態乖離のまま30年 選ばれる国になるために
もし技能実習制度がなかったら、日本はどうなっていただろう。
制度が創設されて、今年で30年になる。この間、働き手不足への対応や技術革新、産業転換を大胆に進め、実習生がいなくても成り立つ社会になっていたかもしれない。
しかし、どれも進まなかったら、多くの産業が行き詰まり、地方は廃れ、食卓に国産の野菜や水産物はほとんど並ばなかっただろう。そう思うほど、私たちの衣食住は実習生に支えられている。
それなのに、この制度は「建前」で運用されてきた。技能を習得し母国で生かしてもらう国際協力が目的とされるが、実態は、入れ替え可能な安い労働力を確保する手段だった。昨年12月に開かれた政府の有識者会議でも、目的との隔たりは「誰の目からみても明らか」と指摘された。制度の見直しに向けて議論が進むのは当然だろう。
技能実習制度は、外国人のための制度ではなかった。実習先を変える自由を認めないことで、地方から都市部への人材流出を防いできた。これは外国人を望まぬ環境に縛り付ける危険と表裏一体だった。
国士舘大学の鈴木江理子教授…
- 【視点】
この記事が指摘する通りだと思います。今の私たちの充実した暮らしは、実習生の労働によって成り立っています。技能実習制度は、外国人労働者の人権と引き換えに、いわゆるゾンビ企業を存続させてきた面があると思います。 働く者の人権さえ守れない企業や産
- 【視点】
技能実習の建前である「技能移転による国際貢献」が空文化しているにもかかわらず、そこからイメージされる「技能移転元の日本=上/技能移転先の国=下」という意識自体はしぶとく残っているように思います。 記事の後半で元・自民党幹事長で現・監理