アパホテルの22階から転落して死亡 「柵の高さ不足」で賠償命令

田中恭太
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 「アパホテル大阪肥後橋駅前」(大阪市西区)の22階の客室バルコニーから約60メートル下に転落して死亡した40代男性の遺族が、アパホテル(東京)に計約1億3千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が27日、東京地裁(大嶋洋志裁判長)であった。判決は、柵の高さが法令の基準より低かった瑕疵(かし)を認め、同社に計約1780万円の賠償を命じた。

 判決などによると、事故は2019年8月1日朝に発生。男性からアルコールなどは検出されず、自殺する動機もなかったため、誤って転落したとみられる。

 バルコニーの柵の高さは、建築基準法施行令が定める基準は「1・1メートル以上」だが、同ホテルの柵は72センチで、判決は「安全性を欠いている」と認めた。ホテル側は「バルコニーは非常時の一時待機を想定しており、施行令は適用されない」と主張したが、判決は「非常時に限る利用でも転落防止の必要性は変わりない」と退けた。

 一方、男性が非常時ではないのにバルコニーに立ち入ったことを踏まえ、賠償額を減らした。

 男性の妻(45)は判決後の会見で「(柵が)あと少しだけ高かったらと考えずにはいられません」と話した。

 アパホテルは「当ホテルは建築基準法に適合していると考えている。控訴を予定している」というコメントを出した。田中恭太

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