三菱電機レーダーはなぜ売れた 防衛装備品、フィリピン輸出の舞台裏

有料記事

牧野愛博
[PR]

 日本から海外への武器輸出を条件付きで認めた「防衛装備移転三原則」が閣議決定されてから4月1日で9年となる。しかし、完成装備品として海外移転されたのは1件のみ。唯一の移転をおこなった企業の幹部が舞台裏を語った。

 国産の完成装備品として初めて契約したのは、三菱電機の警戒管制レーダー4基で、すでに1基が輸出された。戦闘機やミサイルを探知できるもので、2020年に同社とフィリピン国防省が約1億ドル(約133億円)で納入契約を結んだ。

 同社電子システム事業本部(4月1日付で防衛・宇宙システム事業本部に改称)の洗井昌彦防衛システム事業部長は「移転三原則ができた当時から、防衛省と一緒に完成品を海外移転したいと考えていた」と語る。

 日本は1967年に佐藤栄作政権が「武器輸出三原則」を策定して共産圏や紛争国への武器輸出を禁じ、76年には三木武夫政権が原則禁止に強化したが、第2次安倍政権は14年に「防衛装備移転三原則」を制定。(1)紛争当事国などを除く(2)輸出を認める場合を限定し、厳格に審査する(3)目的外使用や第三国移転に事前同意の義務づけといった条件付きでの輸出に門戸を開いた。

 背景には防衛装備品が高性能化し、開発や生産にかかる費用が高額になることから、国際共同開発が主流になってきた事情があった。政府は従来の国産化方針に代えて、移転三原則のもとで防衛生産・技術基盤の維持強化を目指し、輸出の促進も期待された。

 しかし、長らく買い手が防衛…

この記事は有料記事です。残り1590文字有料会員になると続きをお読みいただけます。
今すぐ登録(1カ月間無料)ログインする

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません