16年前の新潟市職員の自殺、市長が謝罪 遺族は元上司の謝罪求める
新潟市水道局の男性職員(当時38)が2007年に自殺した問題をめぐり、中原八一市長が30日、遺族と市役所で面会し、謝罪した。遺族は区切りをつけたいとして、当時の上司=退職=の謝罪を引き続き求めていく考えを明らかにした。
「大切なご家族を亡くされてから判決の確定まで長期を要したことを、深くおわび申し上げます」。中原市長は男性の妻(53)と長女(17)に何度も深々と頭を下げた。
昨年11月の新潟地裁判決は、男性は厳しい上司の影響で追い詰められ自殺したと指摘。上司が職場環境の改善などを怠ったとして市の責任を認めた。確定後、遺族が謝罪を求めていた。
中原市長は、当時の上司に「注意義務を怠った過失があった」と述べ、訴訟での水道局の主張などに「ご遺族への配慮を欠いた部分があった」とも言及。「男性の遺志とご遺族の気持ちを受け止め、再発防止を徹底し、風化させないためにたゆまぬ努力を続ける」と語った。
遺族は元上司の同席も求めていた。妻は「夫の命はもう二度と帰ってこないが、区切りをつけて前を向いて生きていきたい」と述べ、元上司に謝罪を働きかけるよう改めて求めた。中原市長は「ご遺族のお気持ちをしっかり伝えるよう水道局に指示する」と応じた。市は取材に「退職者に強要できない」としている。
面会後、長女は「本人からの謝罪が本当の解決に一番近づくと思う」と涙ながらに訴えた。(宮坂知樹)
有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。