「偏見恥じた」韓国人監督、朝鮮学校を追った 記録映画を大阪で上映
初めて朝鮮学校に入った時は警戒心があった。笑顔ではつらつとした子供たちと出会い、先入観の誤りに気づいた。日本人の支援者とも接し、学校が異文化理解の礎になっていると悟った――。そんな韓国人監督と同僚が、高校無償化の適用を国に求めた朝鮮学校の裁判記録をドキュメンタリー映画にまとめた。
韓国・釜山の映像プロダクションに勤めるキム・ジウン監督(49)が初めて朝鮮学校を訪れたのは2009年夏。海外同胞との交流団体の一員として大阪の初級学校(小学校)に足を運んだ。
軍事独裁政権下で徹底的な「反共(パンゴン)(共産主義)教育」を受けた世代で、朝鮮学校を「北韓(プッカン)(北朝鮮)の思想教育の場では」と思い、身構えていた。
屈託のない笑顔で誇らしく朝鮮語を話す子供らに接して自身の偏見を恥じた。抑圧された自分たちの言葉を教えるために地域の同胞が建てた学びの場が学校の原点という歴史も聞き、在日の人々の苦労を知った。
以来、釜山に近い九州を中心に各地の朝鮮学校を訪ねた。支援する市民グループも韓国で立ち上げた。
10年、日本の民主党政権は高校授業料の無償化を導入したが、朝鮮学校への適用を見送り、12年の第2次安倍内閣発足後に対象から除外された。
学校関係者の怒りや悲しみに…
- 【視点】
「私たちはこの社会で生きていっていいんだと。そんな風に言われている気がしました」 日本で生まれ育った在日の子どもたちに、これほどまでに悲しいことを言わせてしまう我々の「社会」って、一体、何なんだと思ってしまう。
- 【視点】
日本政府が朝鮮学校にとっているひどい仕打ちは、映画のタイトルである「差別」以外のなんでもないと私は思う。 かつて無償化の対象外とする省令が出た経緯を取材したことがあるが、北朝鮮に強硬一辺倒で迫っていた当時の安倍首相自らが、下村博文・文部