WBCの歓喜から9日 二刀流の大谷翔平、メジャー開幕戦でも快投

オークランド=室田賢
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 (30日、エンゼルス―アスレチックス)

 エンゼルスの大谷翔平にとって、過去にない感覚で迎えたシーズンだろう。

 大リーグ6年目の開幕戦は3番・投手で先発出場。2年連続で開幕戦を「二刀流」でスタートした大谷が、まずはバットでみせた。

 四回の第2打席。前の打者のトラウトが四球を選び、無死一塁の場面で、大谷は2球目の直球をフルスイングでとらえた。二塁手が飛び込むグラブの横を鋭い打球で破り、右前へ今季初安打を放った。

 その直後の投球では剛腕ぶりを発揮した。

 四回1死から連打を浴びて二、三塁に走者を背負うと、ここでギアを入れた。次打者を92マイル(約148キロ)の落ちる変化球で空振り三振。2死とし、続く打者からも、この日最速となる101マイル(約162キロ)の直球で2者連続の空振り三振を奪った。

 ピンチを脱した大谷はマウンド上でガッツポーズをし、ほえた。

 さかのぼること9日前。ワールド・ベースボール・クラシックWBC)の決勝の九回のマウンドに大谷は立っていた。

 準決勝のメキシコ戦ではサヨナラ勝ちにつながる二塁打を放ち、決勝の米国戦では抑え投手で登板し、胴上げ投手となった。

 これまでに感じたことのない高揚感と達成感に満ち、「間違いなく今までの中でベストな瞬間」と語った大谷。だからこそ、「エンゼルスでワールドシリーズに出て勝ちたいと改めて思った」。まだ大リーグで短期決戦の経験はない。

 WBCで頂点を味わった分、これまで以上に勝利に飢えている。この日の投球は気迫を全面に感じさせた。安打を許したのは四回のみ。6回を2安打無失点、10奪三振と圧倒した。

 21年にア・リーグMVPに輝き、22年はベーブ・ルース以来104年ぶりに「2桁勝利・2桁本塁打」を達成した。

 もはや「二刀流」のすごさが当たり前のように感じさせる雰囲気すらある。大谷自身も個人の成績ではもう満足しないはずだ。

 頭にあるのはエンゼルスの優勝のみ。28歳の目には高みしか見えていない。(オークランド=室田賢

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