キュアウィングの登場は「必然」 男子プリキュア、研究者はこう見た

有料記事

照井琢見
[PR]

 「これからは、僕があなたを守るんだから」

 4月2日放送のアニメ「ひろがるスカイ!プリキュア」(日曜朝8時半、ABCテレビ・テレビ朝日系全国ネット)。

 絶体絶命のピンチで、決意を固めた12歳の少年・ツバサの手に、ミラージュペンが現れる。プリキュアに変身するためのキーアイテムだ。

 いまにもさらわれようとする、赤ちゃんのプリンセス・エルを前に、ツバサは力強く叫ぶ。

 「あなたのナイトが参ります」

 やがて彼の姿は、キュアウィングに。

当初から続くチャレンジ、20年の節目も

 2004年2月に始まり、20年目を迎えたシリーズのなかで、男子のプリキュアがメインキャラとして登場するのは、初めてのことだ。

 今年1月末にあった記者会見で、東映アニメーションのエグゼクティブプロデューサー鷲尾天(たかし)は、こう語っていた。

 「そもそもプリキュアたちが徒手空拳、自分の体で足を踏ん張って戦うということも、始まった当時はチャレンジ性の非常に強い要素でした。シリーズを続けていくには、チャレンジが絶対に必要。いずれ、プリキュアは女性に限らなくていいと考えていたので、20年の節目に男子のプリキュアを誕生させました」

 ジェンダーの観点から、女児向けのアニメを分析してきた横浜国立大学の須川亜紀子教授は、「シリーズのなかで、プリキュアは女の子の特権から、どんどんとノンバイナリー(男女の二元論にあてはめない存在)になっていた。今回はその集大成」とみる。

須川教授は、多様なあり方を打ち出し続けてきたことが、キュアウィングの登場につながっていると分析します。エル役の古賀葵さんも、プリキュアを見て「女の子像」が変わったそう。

 須川教授によると、プリキュ…

この記事は有料記事です。残り1467文字有料会員になると続きをお読みいただけます。
今すぐ登録(1カ月間無料)ログインする

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

  • commentatorHeader
    田中俊之
    (大妻女子大学准教授 男性学研究者)
    2023年4月2日9時0分 投稿
    【視点】

    長男が保育園に通っていた頃に、プリキュアを視聴していると男の子の友だちに話したところ、「それは女の子が見るものだ」と言われたと悲しそうな顔で教えてくれたことがありました。その際には、「かわいいものもかっこいいものも両方好きな方が得じゃない?

  • commentatorHeader
    小原篤
    (朝日新聞記者=アニメ、マンガ、映画)
    2023年4月3日10時33分 投稿
    【視点】

    6月に前後編が公開される「劇場版 美少女戦士セーラームーンCosmos」試写を見たところ、そこでも「東映らしさ」が発揮されていました。重要なゲストキャラとして登場する3人組アイドルグループ「スリーライツ」、普段はスーツにネクタイ姿で「男性か