所得制限撤廃、授業料後払い…少子化対策てんこ盛り、財源は難航必至

[PR]

 政府は31日、岸田文雄首相が掲げた「異次元の少子化対策」のたたき台となるこども・子育て政策強化の「試案」を発表した。今後3年間を「集中取り組み期間」とし、経済的支援や子育てサービスの向上、全年齢層への切れ目ない支援、男性育休の推進などを網羅的に列挙した。今後、政府の「全世代型社会保障構築本部」の下に首相が議長の「こども未来戦略会議」を設けて、開始時期や裏付けとなる財源を議論する。負担増の議論は避けられず、調整の難航は必至だ。

 試案では、少子化を「これ以上放置できない待ったなしの課題」と強調。若い世代が結婚・子育ての将来展望が描けない▽子育てしづらい社会環境や両立しにくい職場環境▽子育ての経済的・精神的負担感や不公平感を課題に挙げた。克服するために、若い世代の所得を増やす▽社会全体の構造・意識を変える▽全ての子育て世帯を切れ目なく支援することが必要だとした。若年人口が急減する2030年代に入るまでを少子化傾向を反転できるかどうかの「ラストチャンス」と記した。

 3年間で取り組む具体的な政策として、児童手当の所得制限の撤廃、支給期間の高校卒業までの延長を明記した。多子世帯への手当額も見直すとした。パートの主婦らが社会保険料を負担しないように時間を抑えて働く「106万円の壁」(従業員が100人以下の企業などでは130万円)について制度の見直しに取り組むとした。大学や大学院での授業料減免や給付型奨学金の拡大、授業料後払い制度、奨学金の返還額の減額条件の緩和など、教育費の負担軽減策を掲げた。出産費用の保険適用も検討する。学校給食費の無償化は「課題の整理を行う」にとどめた。

 子育てサービスでは、保育士…

この記事は有料記事です。残り1207文字有料会員になると続きをお読みいただけます。
今すぐ登録(1カ月間無料)ログインする

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

  • commentatorHeader
    末冨芳
    (日本大学文理学部教授)
    2023年3月31日18時12分 投稿
    【視点】

    異次元か、と言われると、自民党政権として、児童手当の所得制限撤廃に舵を切り、全てのこどもへの保育保障など、普遍主義のこども政策に転換した点は「次元が異なる」と言えるかなと思います。 一方で少子化の要因とされている大学までの高額な教育負