偽装離婚した私から次世代のあなたへ 社会変えるバトンを渡していく

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編集委員・吉岡桂子
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記者コラム 「多事奏論」 編集委員・吉岡桂子

 私は「偽装離婚」している。

 ちょうど20年前。上海へ特派員として赴任する直前のことだ。旧姓併記が難しかった当時のパスポートでは、私は夫の姓だった。海外で重要な身分証であるパスポートと名刺などで使う「通称」の不一致は、中国では特に面倒が予想された。

 取材活動を通じて拘束される恐れがある国だ。捕らえられた時に二つの名前を不審がられ、日本の戸籍制度を説明しても伝わらず、こじれたらどうしよう。同僚にも迷惑がかかる。面倒なヤツだと思われると、仕事のチャンスが遠のくのではないか。

 この時、38歳。朝日新聞の…

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    遠藤乾
    (東京大学大学院法学政治学研究科教授)
    2023年4月2日20時28分 投稿
    【視点】

    吉岡桂子編集委員。本当にお疲れさまでした。コラムに次ぐコラム。綿密かつ大胆。いつもなにかはっとさせられる、そうでなければ考え込んでしまう。そんなコラムをずっと楽しみにしてきました。  とまでは、すぐ出てくる。しかし、そのあと、何と言葉を紡