「つなぎの4番」山梨学院・高橋が決勝点 監督も認める「素直な子」
(31日、第95回記念選抜高校野球大会準決勝 山梨学院6―1広島・広陵)
八回まで1―1の緊迫した投手戦で迎えた九回。1死二塁で打席に入った山梨学院の高橋海翔選手が決勝点となった2点目を中前適時打であげた。
「打ったのは外のスライダー。体の反応で打ちました」
この日、大会屈指の好投手、広陵のエース高尾響投手に味方打線は抑え込まれていたが、高橋選手のタイミングが一番合っていた。
高尾投手がピンチになると投じるスプリットに、他の打者のバットが空を切る場面が目立った。だが、高橋選手はセンター中心にはじき返すコンパクトなスイングを心がけ、「2ストライクからスプリットが来ても、何とかバットに当てる自信があった」。直球か、スプリット以外の変化球かに狙い球を絞り、余裕を持って臨むことができた。
高橋選手は四回の第2打席でも安打性の当たり。四回まででチームの安打は高橋選手が二回に打った1本のみだった。高橋選手は七回にも右前打を放ち、決勝打と合わせ、この日は単打3本の4打数3安打を記録した。
「高橋が打つと、みんなが調子に乗る」(吉田洸二監督)との言葉通り、九回の高橋選手の後、山梨学院打線は広陵の高尾、継投の倉重聡両投手に集中打をあびせ、この回一挙5点を取って試合を決定づけた。
高橋選手は1年生から4番に抜擢(ばってき)された打線の中心だ。好機に強いことが評価されてのことだが、硬くなりやすい一面もある。それを心配した吉田監督が、1、2回戦では3番に入れた。
それでもやはり、硬さから大振りになり、調子が上がらなかった。2回戦の氷見(富山)戦の後、吉田監督が「大きなのを狙わず、気楽に打て」とアドバイスした。
それを受けて、改めて「つなぎの打撃」を意識し直した。その結果、3回戦の光(山口)戦では右方向への三塁打を放ち、準々決勝の作新学院(栃木)戦、そしてこの日の広陵戦と、2試合連続で単打だけで3安打を記録した。吉田監督も「素直な良い子なんです。それが高橋の良いところ」と目を細めた。
高橋選手が大会前、対戦を望んでいた、前田悠伍投手(大阪桐蔭)との対戦は大阪桐蔭が敗れ、かなわなくなった。しかし、高橋選手は「長打はいらない。単打で試合を決める打点をあげたい」と、「つなぎの4番」の姿勢を保って決勝の打席に立つ。(三宅範和)
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