NHK「クローズアップ現代」のキャスターを昨春から務める桑子真帆アナウンサーは、2月にウクライナとその周辺国で10日間取材し、市民に影を落とす戦禍の現実を生中継で伝えた。放送開始から31年目に入る看板報道番組。「『知りたい』に応える番組」という使命感から「自分がそこにいないことが想像できなかった」と強く願って実現した現地取材だった。
2月20、21日の放送は「シリーズ侵攻1年」と題し、バルト三国の一つで、旧ソ連に併合された歴史を持つラトビアの首都リガから生中継した。20日はウクライナの公共放送「ススピーリネ」で葛藤を抱えながら放送を出し続ける記者らに密着した。
侵攻1年の節目にどんな放送をするか、番組スタッフは長く話し合ってきた。この1年でウクライナやロシアをテーマに12回の放送を重ねたが「節目に現地から生中継が出せれば、強いメッセージが発信できる」との方針で一致した。
「一番大事にしたのは、ウクライナとロシアの状況を肌で感じられ、その場所にも意味があること。ウクライナ国内は戦況によって放送が出せないリスクもある。旧ソ連やドイツに侵攻された複雑な歴史があり、ウクライナとロシア双方から逃れてきた人もいるラトビアなら意味があると考え、決まりました」
10日間の取材のうち、ウクライナには4日間入った。首都キーウでは、まず「戦時下の市民のリアル」に直面したという。
「驚いたのは、そこに日常が…

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