岸田政権が「異次元」と掲げた少子化対策の試案が3月31日に公表された。注目が集まった児童手当などの経済的支援だけでなく、育児休業のあり方や奨学金、住まいへの支援など多岐にわたる政策が盛り込まれた。子育てをめぐる環境はどう変わるのか。
「何が従来と次元が異なるか。第1のポイントは、制度のかつてない大幅な拡充」。こども・子育て政策強化の試案をまとめた小倉将信こども政策担当相は1日、こう強調した。試案では児童手当の拡充をはじめ、国際的にも手薄とされてきた経済的支援を前面に提示。ただ具体策がはっきりしないものも多い。
「政府として提案した以上、責任を持ってしっかりやりたい」。4月に発足するこども家庭庁の幹部もこう話す。
ただ、今後3年間で取り組む政策が盛り込まれた文書内では「撤廃」「無償化」といった強い言葉が並ぶ一方、中身はこれからという政策も多い。
「何にも決まっていない」。児童手当を担当する内閣府の担当者はそう漏らす。「所得制限撤廃」をうたうが、年収960万円から月5千円へと減額する特例給付をなくして全員一律にするのか、高所得層は減額するのかも不明だ。「多子加算の増額」も、金額や第2子も含むのか、第3子以降に絞り込むのかなどは未定。明らかにできないのは「線引き一つで児童手当は必要なお金が莫大(ばくだい)に増える」(厚生労働省幹部)からだ。今後、年収の線引きが一つの焦点になる。財源の大枠を示す6月まで検討が続けられる。
保育士1人でみる子どもの人…