乱雑に発展する中国経済 その「血液」金融から裏取りしたリスクとは

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聞き手・吉岡桂子
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 日本銀行中国人民銀行は50年を超える長い交流の歴史があります。大阪経済大学教授の福本智之さんは日銀時代、北京事務所の立ち上げに奔走し、のちに事務所長も務めました。今も人民銀や政府系エコノミストらとの親交が厚く、経済の血液である金融を通じて経済の実情の「裏取り」を続けています。岐路に立つ中国経済のリスクとは何か。福本さんに聞きました。

 ――中国人民銀行は中央銀行とはいえ、政府の一部門で、日米欧など先進国のような独立した存在ではありませんね。

 人民銀の知人は、こんな話をしていました。人民銀は、かつての日本銀行のように「窓口指導」、つまり主要金融機関に直接口頭で貸出額を指導して市場に供給する資金の量を調節しています。「窓口指導」という日本語が中国語でもそのまま使われているのですが、こういった指導が通用するのも、人民銀が政府の一部門であるからこそで、独立していたら国有企業は言うことはきいてくれない、と言うのです。彼ら自身も国務院、つまり政府の一部門であることに誇りを持っているようです。

 同時に、別の知人はこんな話もしていました。「中央銀行の人はみんな良い人だ。世界中どこでもパーティーが一番盛り上がっているときに場を冷やす。嫌われ役をやる」と。景気が過熱して物価が上がっている時、批判を浴びても利上げをする、という意味です。中央銀行は政府の他の仕事とは違う役割があるのだ、という誇りも持っています。日銀と人民銀は中央銀行どうし、仲間意識を持って付き合いを続けています。

 ――日銀出身のエコノミスト…

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