デンマーク、祝日を1日廃止 労働時間を延ばして国防費増額 反発も

ウクライナ情勢

藤原学思
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 デンマーク議会は2月28日、祝日を1日なくす法案を賛成95、反対68で採択した。これにより、労働時間が延びて税収が増えることで、30億クローネ(580億円)を追加の国防費として使えるようになるという。複数の欧米メディアが報じた。野党や労働組合、宗教家から反対の声が上がっているという。

 来年から祝日ではなくなるのは、イースター(復活祭)後4回目の金曜日の「大祈禱(きとう)日」。17世紀から祝日だったが、5月5日の今年が最後になる。

 英BBCによると、北大西洋条約機構(NATO)の加盟国であるデンマークでは、フレデリクセン首相が率いる大連立政権が「国防費は国内総生産(GDP)の2%以上」という目標の達成が必要だと主張。もともと「2033年までに」だったが、ロシアのウクライナ侵攻を受けて「30年までに」に変更された。

 BBCや地元メディアによると、2月初頭に首都コペンハーゲンの国会前で5万人規模の抗議デモが起こったほか、世論調査では7割の国民が反対していた。AP通信によると、反対した議員は審議中、「盗みはやめろ。政府は国民に1日多く働くように命じている」と批判したという。

 地元メディアとロイター通信によると、デンマークでは元日やクリスマスなどの祝日が現在、計10日ある。フレデリクセン氏は1月、「1日だけ余計に働かないといけないことを問題だとは思わない」と語っていた。藤原学思

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    沢村亙
    (朝日新聞論説主幹代理=国際政治・社会)
    2023年3月3日0時15分 投稿
    【視点】

     祝日を減らして税収を増やすのは、一見すれば手っ取り早い財源捻出策のようにも思えるが、かなり政治的勇気を要する決断だ。  私がパリ特派員だった2005年、フランス政府は5月の休日を「廃止」した。その2年前の2003年夏に欧州を襲った猛暑で

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