世界で唯一、水素利用の全段階に注力 川崎重工業が橋渡しする未来
2030 SDGsで変える
脱炭素時代のエネルギー源として注目される水素。世界で唯一、製造、運搬、貯蔵、使用を一貫して手がける川崎重工業の橋本康彦社長に、水素の可能性と展望について聞きました。
――水素を軸に、新たな事業展開に踏み出していますね。
造船から始まった会社として、資源の乏しい日本に海外の石炭、石油、LNG(液化天然ガス)を運ぶ船を提供してきました。
これからは脱炭素の切り札として、使用時に二酸化炭素(CO2)が出ない水素を届け、生活の安定に貢献していきます。
これまでは、製造コストと運搬技術が課題でした。豪州でつくった水素を液化して運ぶ実証実験が成功したので、船の大型化を進めているところです。2030年には競争力のある値段で供給し、水素関連で売り上げ4千億円の事業に育てることを目指しています。
「夢」だと冷やかされても 社会のためになると信じた
――地道に40年あまり続けてこられたのはどうしてですか。
ロケット燃料を貯蔵するタンクの供給から始まり、将来のエネルギーになるとの思いでやってきました。目先の利益には結びつかないので、「夢があっていいね」と冷やかされることもありました。国からの支援もありましたが、社会のための仕事にこだわる社員の存在が大きかったですね。
――低品質な石炭である褐炭…
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