「見て見ぬふりできない」と決意 保健師は埼玉から原発事故の町へ

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西堀岳路
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現場へ! 飛びこんで12年⑧

 真新しい町役場の横にある造成中の丘の上からは、復興公営住宅が並び立つエリア、小さな店舗がいくつか入る商業施設、建設中の小中一貫校の校舎などが見える。「ここから新しい大熊ができていくんです」。福島県大熊町の保健衛生係長で保健師の大澤貴志(44)は話した。

 東京電力福島第一原発の事故で、大熊町は役場ごと、全町民が県内外へ避難した。第一原発の敷地の南半分と、爆発した3基の原子炉が町内にあった。4年前、除染が進んだなかで町中心部から離れたこの地の避難指示が解除され、町は約100キロ離れた会津若松市に仮設していた役場を新築の庁舎へ帰還させた。周囲の田畑だったところに新しい町が出現しつつある。

 事故当時、大澤は埼玉県越生(おごせ)町役場の、入庁7年目の保健師だった。発生2カ月後の2011年5月、応援職員として大熊町役場に派遣された。

 町民は当初の避難先から、福…

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