客の迷惑動画、くら寿司が切り札公開 楽しい外食守るため苦心する店
飲食店での迷惑行為を映した動画がSNS(交流サイト)に相次ぎ投稿された問題が、外食チェーン各社を悩ませている。
店の運営は、店と客の「信頼関係」で成り立ってきた部分がある。信頼は損ねずに、迷惑行為はきっちり防ぐ仕組みをどうつくるか。各社が手探りの状態だ。
透明な半球形の抗菌すしカバーが不自然に開け閉めされる。
その様子をレーン上部についている人工知能(AI)カメラがとらえた。
すると、本部では警報音とともにモニターに商品番号、席番などが表示される。
本部から連絡を受けた店舗スタッフは異常が検知された皿をすぐに撤去し、客に事情を確認する。防犯カメラの映像も併用し、場合によっては警察に通報するという。
「くら寿司」が開発し、2日に公開した「新AIカメラシステム」だ。
一度取られた皿が再びレーンに戻されるなどの不審な動きを検知できる。迷惑行為への対策の「切り札」だ。全店舗に導入した。
広報担当者は「ウィンドーショッピング的なエンタメの要素を守りつつ、安心して楽しんでもらえる環境づくりに努めたい」と強調した。
客がレーン上を流れるすしに唾液(だえき)を指先で塗りつけたり、ワサビをのせたりする動画が投稿されたり。迷惑動画の拡散は1月末から目立っており、警察に被害届を出す店もある。
各社は、料理を楽しむ雰囲気を壊さない範囲で安心・安全を担保するという難題を突きつけられている。
注文品のみをレーンに流す、「回さない」回転ずしチェーンもある。
ラーメン店や中華料理店など他の外食各社でも、客が来店するごとに調味料や水ポットなどを提供するように仕組みを変える動きが相次いでいる。(金子智彦)