支持率低下の岸田首相 政策対応も不評で「嫌われない内閣」は今や昔
記者解説 世論調査部・君島浩
岸田文雄政権は2021年10月4日に発足してから1年5カ月となった。21世紀に誕生した10政権のうち、1年3カ月続いた野田佳彦政権を上回り、7年8カ月の第2次安倍晋三政権、5年5カ月の小泉純一郎政権に次ぐ3番目の長さだ。しかし、最近の朝日新聞社の世論調査をみると、内閣支持率は下げ止まる気配は見られるものの、低空飛行状態が続いており、高揚感は感じられない。
岸田政権誕生直後の支持率は45%だった。現行の電話調査に切り替えた小泉政権以降でみると、発足直後としては最低だった。ただし、不支持率は20%と低く、「その他・答えない」が35%と最高を記録。「どんな人か分からない」「答えられない」と首をかしげた人がかなりいたことを示している。
その後、支持率はじわじわと上昇し、昨年5月には59%にのぼった。不支持率は30%を上回ることなく推移し、「嫌われない内閣」に成長した。
一変したのは、大勝した7月の参院選後だ。8月の支持率は47%に急落し、11月から今年2月まで30%台に低迷している。不支持率は10月以降5カ月連続で50%台を記録した。第2次安倍政権で不支持率が50%台になったのは退陣直前の20年5~7月を含め4回。1年しか続かなかった菅義偉政権でも50%台は末期の21年8、9月だけ。岸田内閣はむしろ「嫌われる内閣」になってしまった。
小泉、第2次安倍以外の政権は支持率が発足後急降下し、短命に終わる「右肩下がり型」が大半だった。岸田政権は当初、徐々に支持率を上げていたが、今や短命パターンに転じるかどうかの正念場とも言える。
ポイント
岸田政権への有権者の評価は昨夏の参院選後に一変。いわば「嫌われる」内閣に。政策が軒並み不評で、「ソフトな好感度」も低下。「聞く力」も色あせている。5月の広島サミットを政権浮揚につなげたいが、過去6内閣では支持率は上昇せず。
要因は不支持理由からうかが…
- 【視点】
内閣の支持理由と不支持理由の世論分析は、実は書くのがとても難しいんです。毎月の定例世論調査で理由をたずね続けているのですが、耳で聞いて答える電話世論調査では複雑な選択肢をいっぺんに提示できないからです。 抑制的で限定的な質問と回答という蓄