トップ棋士同士の対局が一斉に指される第81期将棋名人戦・A級順位戦(朝日新聞社、毎日新聞社主催)の最終9回戦5局が2日、静岡市葵区の料亭「浮月楼」で行われた。挑戦権を争う藤井聡太竜王(20)=王位・叡王・王将・棋聖と合わせ五冠=と広瀬章人八段(36)は互いに譲らず、プレーオフに。「将棋界の一番長い日」と称されるビッグイベントに、夜遅くまでファンの熱い視線が注がれた。
今期の挑戦権争いは、まれに見る混戦になった。9回戦を迎えた時点で、藤井竜王と広瀬八段が6勝2敗で並び、前期まで2期連続で挑戦者になった斎藤慎太郎八段(29)ら4人が5勝3敗で追う展開。6人に挑戦の可能性がある状況で、午前9時に対局が始まった。
最初に勝ち名乗りを上げたのは藤井竜王。鋭い攻めが奏功し、午後7時52分に91手で勝ちきった。「攻めが続くかどうかという展開で、際どい局面が多かった」。稲葉陽八段(34)は「想定外の形から受け身になってしまった」。感想戦で藤井竜王は、実戦で指されなかった手について観戦記者に何度か問われたが、その度に瞬時に正解手順を示す。抜群の読みの速さと正確さが改めてうかがわれた。
次に終わったのが糸谷哲郎八…
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