翻訳家の母が考えた隙間時間の「おうち英語」 子は10歳で英検2級

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聞き手・加藤あず佐
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 「子どもには英語ができるようになってほしいけれど、私は教えられない……」

 こんな親の悩みを、翻訳家の鹿田昌美さん(52)はよく聞いたといいます。自身の息子は10歳で英検2級(高校生レベル)を取得しましたが、やっていたのは隙間時間でやる「おうち英語」。家庭で行うその方法は、専門家に「鹿田メソッド」とも名付けられ、「親の英語力に関係なく、今日から誰でもできる」ものなのだといいます。

 ――自宅で子どもと英語を学ぶ「おうち英語」の方法を、著書にまとめましたね。

 「小説や絵本などを和訳するフリーランスの翻訳家になって、23年になります。英語を始めたのは中学からで、大学で英語を専攻し、米国に1年間留学。その後は日本で暮らしています」

 「7年前に子育て中の保護者の前で講演したとき、英語教育について質問を受けました。『子どもに教える自信はない』『自分は英語ができないけれど、子どもにはできるようになってほしい』。こんな悩みを聞きました」

 「そのとき、親の自己肯定感が低く、英語を学ぶハードルが上がってしまっていると思いました。『英会話教室に行かなきゃ』と思っている人も多い」

 「でも、私自身が子育てをする中で気づいたのは、特別な方法ではなく、自宅でできる「おうち英語」の可能性でした。今、息子は中学1年生で、英語で『ロード・オブ・ザ・リング』を読んでいます。10歳で英検2級も取りました」

リスニング重視、親は発音しなくてもOK

 ――どんな生活の中で考えた方法なのですか?

 「息子が生まれた13年前、仕事が忙しく、授乳しながら翻訳をしていました。会社員の夫は午前7時出勤、0時帰宅の生活。私の仕事は午前9時から午後5時までで、生後7カ月から認可保育園に預けました。ワンオペ育児の中で締め切りにも終われ、必要なときは午前3時からパソコンに向かっていました」

 「『英語を教えてあげたい』とは思っていました。でも、保育園で英語指導はないし、私も時間がない。その中でやっていたのが、夕食前や就寝前の隙間時間でやる『おうち英語』。リスニングを最も重視する方法で、親は発音しなくても大丈夫です」

 ――どんな狙いがあるのでしょうか。

 「リスニングは、読解、会話、作文の基礎になると考えています。4技能の中でも、最も手軽に取り組みやすい。幼児期に耳を鍛えてリズムに慣れ、聞こえた順に内容を理解できる訓練をしておくことは有効です」

 「そして、大切なのは英語を嫌いにならないようにすること。『おうち英語』では、『英語を教える』以上に大事な親の役割です」

 ――実際に、どうやるのでしょうか。0歳から順に教えてください。

 「まず最初は、子どもが起き…

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