イランの女子生徒ら、毒物被害訴える 1千人規模、国内外で波紋

藤原学思
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 中東イランで、女子生徒・学生が相次いで毒性のある物質によるとみられる健康被害を訴え、国内外に波紋を広げている。英BBCによると、昨年11月以来、1千人以上に呼吸器系の障害やめまい、倦怠(けんたい)感が出ているという。

 米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)によると、イランのバヒディ内相は1日、国営メディアに「一部はストレスや不安によるもので、イランの敵や外国の報道機関が不安をあおっている」と語った。これまでに逮捕者は出ていない。ライシ大統領は1日、バヒディ氏に調査の監督を命じたという。

 NYTは、800人以上に影響が出ていると報道。イラン国会の教育委員長が「30人の毒物学者が学校で見つかった毒物を窒素ガスだと判断した」と述べたことを伝えた。委員長や副保健相は、女子の通学を妨げることが動機だとして、イスラム過激派が関与した可能性に言及したという。

 この問題については、イランを敵視する米国も関心を寄せる。米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報担当調整官は2日の会見で「深刻な懸念」を表明。原因はわかっていないとしつつ、「徹底的かつ完全で、透明性のある調査を望む」と語った。

 国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチは「イラン国民、特に女性と少女の基本的な権利を軽視してきた彼らの長い歴史を考えれば、中身のある調査や適切な行動がなされることに、ほぼ希望は持てない」としている。藤原学思

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