耕論 戦時の動員どう考える
ウクライナ侵攻では、ロシア政府が戦場に市民を次々に動員しています。より自由な国というイメージのあったウクライナでも、侵攻開始直後に総動員令が発せられました。国家による戦時の動員を、私たちはどう考えるべきなのでしょう。「国民が国のために戦うとは何を意味するのか、考えて議論しておくべきです」と語る国際政治学者の東野篤子さん(筑波大学教授)に聞きました。
ひがしの・あつこ
1971年生まれ。筑波大学教授。専門は国際関係論、欧州国際政治。共著「現代ヨーロッパの安全保障」など。
――ロシア政府が昨年、戦場に多くの市民を動員しようとして注目されました。狙いは何だったのでしょう。
「プーチン政権は昨年9月、一般市民を強制的に戦場に送るための『部分動員』を発表しました。ウクライナ侵攻を進めるためのマンパワーが足りなくなったからです」
「部分動員は軍隊経験のある予備役兵を対象にしたものだとされましたが、発表されると反対デモが起き、70万人とも言われる人々が国外に逃げています。予備役兵ではない人まで強制動員されるといった運用の粗雑さも、国民の動揺に拍車をかけました」
戦争を我がことと意識させられる機会
――国民とプーチン氏にとってどういう意味を持つ騒動だったのでしょうか。
「この動員はプーチン大統領…
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