滝山病院長「寝耳に水」 精神科病院協会の調査に 患者暴行事件
東京都八王子市の精神科「滝山病院」の看護師が2月、患者への暴行容疑で逮捕された事件で、全国の民間の精神科病院でつくる「日本精神科病院協会」(山崎学会長)が3日、都内で会見を開き、朝倉重延院長らへの聞き取り調査の結果を公表した。
会見によると調査は1日に実施し、朝倉院長らが院内で応じた。看護師らによる暴行の映像が公表され、医師の指示がないとみられる患者の拘束などが指摘されたが、朝倉院長は一連の行為について、「寝耳に水だ」と話したという。
退院患者に占める「死亡による退院」の割合(死亡退院率)の高さについて、滝山病院側は「他で受け入れられない合併症の患者を多く受け入れているため、やむを得ない」と説明。協会は事件を受け、転院を希望する患者を支援する予定だが、滝山病院側は「転院を希望している患者はいない」と話したという。
朝倉氏が院長を務めていた埼玉県の精神科病院「朝倉病院」は、診療報酬の不正請求などが発覚し、2001年に保険医療機関の指定を取り消され、廃院となった。協会の平川淳一副会長が「過去に問題を起こしながら、なぜまた院長になったのか」と朝倉氏に尋ねたところ、「家族内になり手がおらず、話し合いの結果やむを得ず院長になった」と話したという。
山崎会長は「処遇困難な患者を一つの病院が集中して受け入れていることも問題。国が受け皿を整備すべきだ」と指摘。協会は「事実確認に努め、病院の運営管理に関して正すべきは正す」などとする2日付の声明文も発表した。(松田果穂)
元職員「最後に行き着く場所」
「どこにも入れない患者が最後に行き着く場所」。滝山病院の元職員は、以前の勤務先をこう表現する。
東京都が2021年6月に実…