「セミは暑いと出てくる?」 小2が抜け殻集め調査、最優秀の特選に
「セミは暑いと出てくるの?」「公衆電話ってどれくらいの人が使っている?」。大人でも答えるのが難しいこんな疑問を、小学生が子どもなりに調べ、分かりやすく見やすい統計グラフにまとめた。
島根県出雲市立平田小2年の岸本芽さんは虫が好き。セミの羽化と天気や気温の関係を調べようと昨年夏、1本の木に残るセミの抜け殻を毎日数えた。
7月25日から17日間調査して、完成したグラフは「セミのぬけがらしらべ」。抜け殻の絵を積み上げる形でその日の数を表し、木の近くで測った気温と湿度を折れ線グラフにした。「抜け殻は全てアブラゼミだった」「数が多かった日は、2日前に雨が降っていた」など、気がついたこともまとめた。気温や湿度との関係は分からなかった。
グラフ作りは「折れ線を描くのが大変だった」という岸本さん。島根県の昨年の統計グラフコンクールで最優秀の特選(小学1、2年の部)に選ばれ、「各調査項目を一つのグラフにまとめて、とても見やすく分かりやすい」と評された。
昨年の大規模通信障害きっかけで
小学5、6年の部で同じく特選に選ばれた松江市立古志原小6年の米田健さんは、今では見かけることも少なくなった公衆電話の利用実態をグラフ化。同級生や家族の知人など10~60代の96人にアンケートした。
「公衆電話を使ったことがあるか」という質問に「ある」と答えた人は全体の69・8%。また、「ない」と答えた人のうち、31%が使い方を知らなかった。それぞれの質問の回答を円グラフで、年代別割合を帯グラフで表し、「年代問わず、現在の公衆電話の利用率は低いようだ」「いざというときのため、設置場所や利用方法を確認しておくとよい」と考察した。
調べたきっかけは昨年あった携帯電話の大規模通信障害のとき、公衆電話を使っている人を見たことだった。米田さんは調査をやってみて、「災害などで携帯電話が使えなくなったときに必要な道具。減りすぎると困ると思った」。
島根県が年齢を問わず募集する統計グラフコンクールには昨年、42点の応募があった。県統計調査課の担当者は「調査したデータの傾向をつかみ、理解しやすいようにグラフ化する。柔軟な発想ができる『柔らかい頭』を育てる足がかりになる」と話す。(榊原織和)
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