小山で高レベル放射性廃棄物の最終処分に関する説明会
原子力発電に伴って生まれる高レベル放射性廃棄物の最終処分についての説明会が2日夜、栃木県小山市で開かれた。原子力発電環境整備機構(NUMO)などの主催で、住民ら19人が参加した。
県内で開催されるのは2017年と21年に宇都宮市で開かれて以来3回目。全国では17年に始まって以来、167回目になった。
説明会は資源エネルギー庁の放射性廃棄物対策課の桑原豊課長補佐と、NUMO地域交流部の河添裕文副部長がスライドを示し、高レベル放射性廃棄物の最終処分場の必要性や、地下300メートル以上の大深度に埋設するしくみを説明。その後、参加者が4、5人のグループに分かれて担当者に質問をする形式で進んだ。
参加者からは「ロシアによるウクライナ侵攻のような有事の際、地上で現在、保管している高レベル廃棄物は大丈夫なのか」と危惧が示されたり、地下の保管場所は活断層を避けて選定されるというものの、「今回のトルコ・シリア地震のような例もあるので不安」という声が出たりした。
「必要なものならもっと早く造るべきではないか」という声には、06~07年の高知県東洋町での廃棄物の受け入れ可否を巡る混乱を例に、NUMO側は「住民の意見に反して先には進まない」と強調した。
参加者からは「環境問題関係の仕事をしているが、知らない分野なので勉強になった」「最終処分場の設置の必要性が理解できた」などの感想が出た。
NUMOはすでに北海道寿都町と神恵内村で、最終処分地の選定の第一歩となる「文献調査」を始め、両町村は交付金を受け取っているが、次の段階の「概要調査」には進んでいない。
NUMOの河添副部長は「調査や処分場の受け入れの判断を求めるための説明ではなく、地層処分についての理解を深めてもらうのが目的」と話した。(根岸敦生)
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