あの「地球の歩き方」に千葉版が登場 ライバルの埼玉より一足早く

近藤咲子
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 海外旅行者には定番のガイドブック「地球の歩き方」から、「千葉版」が出版された。国内シリーズでは東京や京都、沖縄などに続いて7作目で、首都圏ではライバルの埼玉よりも一足早かった。担当した編集者の清水裕里子さん(44)は県内出身。県外からの旅行者だけでなく、地元の人も「知らない千葉」に出会えるきっかけになるガイドブックに仕上がった。

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 「千葉版」は昨年12月に出版された。県内全54市町村の見どころを網羅している。江戸時代の町並みが残る佐原、カラフルな花畑で有名な東京ドイツ村といった定番の観光スポットに加え、低山ながら鎖場もある伊予ケ岳(南房総市)や山頂に日本武尊をまつる白鳥神社がある大福山(市原市)など、「山無し県」と思われがちな千葉の登山の魅力を盛り込んだトレッキング特集のページもある。

 編集を担当した清水さんは、船橋市出身で習志野市在住。「海や牧場などアウトドア系の観光地も多く、年中遊べる。千葉を訪れる人だけでなく地元の人にも読んでもらい、千葉の魅力を伝えたかった」と話す。

 地球の歩き方は1979年に創刊され、これまで世界約160の国や地域を紹介してきた。だが、新型コロナウイルスの感染拡大で海外旅行者の需要は激減。シリーズの売り上げも、コロナ禍前の1割にまで落ち込んでしまった。

 国内シリーズ初となる「東京版」の出版は、以前から東京五輪パラリンピックの開催に併せて企画されていた。国内でも飲食店や商業施設が軒並み休業するなかだったが、20年9月に出版されると、予想外の反響があったという。

 はやりの店や最新スポットにはこだわりすぎず、伝統工芸や文豪が通った名店など、東京の歴史と文化を盛り込んだことが奏功。国内版のシリーズ化につながった。これまで東京・多摩地域、京都、沖縄、北海道のほか、47都道府県を一冊で網羅して全部で1千ページを超える「日本版」などを出版してきた。

 地元の人が読んでも新発見があるように、その土地にゆかりのある編集者が担当し、あまり知られていないような名所を紹介。地域の歴史が分かる年表も載せた。シリーズ累計で40万部以上を売り上げた。

 千葉版は約15人の編集チームが約1年かけて制作した。トレッキング特集は、登山が趣味で北アルプスなど各地の名山を踏破した清水さんが、コロナ禍を機に改めて千葉の低山の魅力に気づき、特集したという。

 今月にも埼玉版が発売されたほか、愛知、札幌・小樽、世田谷などの出版も予定されている。清水さんは「コロナがあったからこそ気づける地元のよさを、是非再発見してほしい」と話す。

 「地球の歩き方 千葉」は516ページ、2200円(税込み)。全国の書店などで販売されている。(近藤咲子)

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