クラフトビール「TOSACO」、生産量8倍の新工場が稼働

羽賀和紀
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 高知県香美市を拠点に「TOSACO(トサコ)」ブランドのクラフトビールを醸造する高知カンパーニュブルワリーが、新工場を昨年末に稼働させた。生産能力が8倍に増え、今後は県外への販路開拓も強化する。施設内にはビアスタンドもオープンさせる予定で、醸造を見学しながらビールを味わえる拠点にもしたいという。

 同社は大阪から移住した瀬戸口信弥さん(36)が2017年に創業した。ユズやトマトなど県産素材を使ったビール造りにこだわっている。ここ2年ほどは生産が人気に追いつかず品切れ状態が続き、増産体制の構築が急務だった。

 新工場は、約1億6千万円をかけて物部川に面した同市香北町橋川野に建てた。生産能力は年間120キロリットルで、旧工場(同市土佐山田町栄町)の8倍にあたる。醸造の様子を外から見学できるように壁面は大型の窓とした。

 ビールの醸造には地下25メートルからくみ上げた井戸水を利用する。「フルーティーな味が楽しめるエールビールに適した中硬水が湧いている」(瀬戸口さん)のも、移転先として同地を選んだ理由という。

 4月には、工場に併設する形でビアスタンドをオープンさせる。8~10種類の樽(たる)生ビールを提供する計画で、「お客さんとの交流の場にもしたい」と話す。

 工場隣は、ウッドチップを敷いたビアガーデンとして一般にも開放する。「物部川のゆったりとした流れを眺めながらビールを飲める場にしたい」といい、バーベキューサイトや、地元の料理人を招いた青空レストランとしての利用なども検討している。

 同社の22年5月期の売り上げは約4500万円。5年後に生産量を70キロリットルに増やす計画で、年間売り上げ1億円を目指している。

 瀬戸口さんは「新工場を地域の魅力を発信する拠点にし、物部川流域のブランド化にも貢献したい」と話している。(羽賀和紀)

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