楽天モバイル元部長、不正請求の「検収」を担当 不正ないと報告か
楽天モバイル(東京都世田谷区)の携帯電話基地局整備事業をめぐり同社に約300億円を不正に支払わせたとされる詐欺事件で、逮捕された同社元部長が、業務が正しく行われているか社内で確認する「検収」を担当していたことが関係者への取材でわかった。元部長が取引先と共謀して水増しした委託料を自ら問題ないと社内に報告して支払わせていたとみられ、警視庁が経緯を調べている。
関係者によると、楽天モバイルは2019年7月から携帯電話基地局の建設に使う部材の物流管理を日本ロジステックに委託し、日本ロジから受け取った毎月の業務の見積書に従って委託料を支払っていた。支払いに当たっては事前に楽天モバイル内で業務内容や支払金額が正しいかを確認(検収)していた。
この検収を行っていたのが、佐藤友紀容疑者(46)が部長を務めていた物流管理部。同部は基地局の部材の物流全般を統括し、物流計画の立案も主な業務だったという。
佐藤容疑者は日本ロジ元常務の三橋一成容疑者(53)らと共謀し、日本ロジが楽天モバイルから委託されていた部材の「保管料」や「輸送費」を水増しして請求。物流を担当する部長として自らその金額に不正はないと楽天モバイル社内に報告し、支払わせていた疑いがあるという。
また、日本ロジは楽天モバイルから委託された物流業務を、浜中治容疑者(49)が社長を務める物流会社「TRAIL」に再委託していた。だが、楽天モバイルはこの再委託について承諾していなかったという。佐藤容疑者は担当の部長の立場を利用して無断でTRAILを取引に組み入れ、不正に得た金をTRAILを通じて自身の妻が代表を務める法人などに送っていたとみられている。(山口啓太、高嶋将之)
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