世界で広がる「動物福祉」 各地への巡業に調教、サーカスの現場は今

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森治文
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 動物の飼育環境に配慮する「アニマルウェルフェア」(動物福祉)の考え方が広がる中、近年は猛獣ショーなどサーカスでの動物利用の禁止も世界的な潮流となってきた。国内にはライオンなどが登場するサーカス団もあり、団側は飼育などの正当性を訴える一方、一部の動物愛護団体は厳しい目を向ける。実際のショーを訪ねた。

 東京都立川市の特設テントで昨年末から、催されている木下大サーカス。同市での公演はコロナ禍で入場者を制限したり、公演回数を減らしたりした2020年以来、2年ぶり。記者が取材で訪れた昨年12月28日の公演は学校の冬休み期間でもあり、大テント内はほぼ満席だった。

 ピエロのおどけたしぐさのコントや、箱の中で人が消えたり入れ替わったりするマジック、はらはらする曲芸や空中ブランコ、球体のかごの中を縦横無尽に走るオートバイショーなどを人々は固唾(かたず)をのんで見守ったり、歓声を上げたり。スリル満点の曲芸やマジックなど2時間余りのショーに、観客席からは拍手と歓声が絶えない。

 そんなプログラムの合間をぬって順に登場したのがライオンやゾウ、シマウマたち。調教師の指示で並んで行進したり、仲間の背中を飛び越えたり。ライオンとゾウのハイライトは、後ろ脚2本だけで立つポーズ。決まると、大きな拍手が送られた。動物のショーは計15分ほどだった。

 こうしたショーを規制する流れが、10年ほど前から世界では強まっていると、動物の飼育改善などに35年間取り組んできたNPO法人「アニマルライツセンター」(東京都渋谷区)は説明する。

海外で強まる規制、サーカス側は「『動物の福祉』の観点から取り組み」

 欧米やアフリカなどで動物愛…

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