【そもそも解説】「徴用工問題」なぜ日韓関係の最大懸案となったのか

有料記事徴用工問題

ソウル=鈴木拓也
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 日本と韓国の両政府間で「徴用工問題の解決」に向けた話し合いが大詰めを迎えています。2018年に韓国の大法院(最高裁)が、戦時中の元徴用工への賠償を日本企業に命じた判決をめぐる問題です。徴用工とはどういった人たちで、なぜ今も日韓関係に影響を与えているのかを解説します。

 Q 徴用工とはどのような人たちでしょうか。

 A 戦時中、日本の統治下にあった朝鮮半島から日本の工場や炭鉱などに、労働力として動員された人たちです。労働力不足を埋めるためでした。

 会社側の募集に応じた人もいれば、「国民徴用令」の適用で徴用された人たちもいます。当時の公文書や証言からは、時に威嚇や物理的な暴力を伴った動員があったことがわかっています。韓国政府が認定した元徴用工は約22万6千人(故人を含む)います。

 韓国で起きた訴訟では、元徴用工たちが自身を雇用していた企業などに賠償を求めました。

 Q 日本は、どう対応してきたのでしょうか。

 A まず、日本と韓国の国交正常化に至る交渉を振り返る必要があります。

 日本と韓国は1965年に国交を結びました。国交樹立のための協議の核心となったのは、1910年の日本による韓国併合をめぐる認識の違いでした。日本側は「当時の国際法上で合法だった」との立場です。韓国側の「違法」な植民地支配によって被害を受けたとの主張とは相いれません。

 両国は、被害の賠償問題とつながるこの部分の協議を事実上「棚上げ」し、玉虫色の解釈で決着させるため、ある協定を結びました。「日韓請求権協定」です。

 協定では、韓国に「経済協力金」として無償3億ドル、有償2億ドルが供与されるとともに、両国の政府間と、それぞれの国民の間での賠償の「請求権」の問題が「完全かつ最終的に解決されたことを確認する」とされました。

「請求権協定」とは

 Q どういった意味を持つのでしょうか。

 A 協定で日本が支払ったの…

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