コロナ禍で移住者増、「大軽井沢経済圏」の持つ力とは 論座から
町は、集う人々と土地と時間の化学反応で育っていく――。東京成徳大学准教授の芳野まいさんの連載「軽井沢の視点~大軽井沢経済圏という挑戦」は、そんなことを改めて気づかせてくれます。
軽井沢は、コロナ禍で移住者が増えた町のひとつです。その流れは近隣の御代田、小諸などの町まで広がり、「軽井沢をゲートウェイとした一大経済圏が生まれつつある」と言います。
連載は、初回「軽井沢型テレワークがどこにも真似(まね)できない深い理由~自主財源107億円の町に年間500人移住」(2022年2月18日)から、最新回「社会減100人超から社会増100超に~『おしゃれ田舎プロジェクト』で小諸が逆襲」(23年2月27日)まで、これまでに6回。地元自治体の職員、住民や移り住んだ医師、漫画家らと対話しながら、「大軽井沢経済圏」が持つ「場」の力を、多角的に掘り起こしていきます。
最新回は、新幹線の素通りで元気をなくしていたかつての商都小諸で、にぎわいを取り戻そうと動く人々にインタビュー。皆さんの町を語る熱量の大きさが印象的です。少子高齢化など背景にある構図は、日本中どこにでもある話。だからこそ、読んでいるうちに自分が暮らす町、縁がある町を思い出し、ひとこと言いたくなります。
「都会の人は、移住先の地方に都合よく期待して、勝手に失望することがある」。例えば私は、故郷の農村を離れて30年余りが過ぎたのに、移住を受け入れる側のそんな視点で考えていることに気づき、驚きました。
「どこにも真似できない」軽井沢経済圏の話のはずが、自分にとって大事な町のあり方を考える刺激となる連載です。(編集委員・「論座」副編集長、吉岡桂子)
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