実験室フランスに学ぶ二院制の意義と可能性 「感情」は軽視できない

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聞き手 編集委員・豊秀一
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 「衆院のカーボンコピー」と揶揄(やゆ)されたかと思えば、時に「強すぎる」と批判にさらされる参議院。世界を見渡すと、一院制の国もかなりあるのに、そもそも日本はなぜ二院制なのか。一院制に変えると、何か困るのか。フランス憲法や議会制度に詳しい、新井誠・広島大学法科大学院教授に話を聞いた。

 ――二院制と一院制のどちらを採用するか、世界的な傾向はあるのでしょうか。

 「正確なデータがなく、はっきりしたことは言えないのですが、第2次大戦から間もないころは一院制が増えたとされています。デンマークスウェーデンなどは、第2次大戦後に、二院制から一院制へ転換したことで知られています」

 「一方で、近年は二院制への回帰がみられるとも言われています。規模の大きな国は二院制が多く、歴史的な経緯の中で二院制をとってきたので、あえて変えることはしないという面もあるのでしょう」

 ――フランス革命期の政治家シェイエスの言葉とされる「第二院は、第一院と一致するなら無用であり、一致しないなら害悪である」が、よく二院制の難しさを象徴するものとして引用されます。そもそも、二院制を採用する意味はどこにあるのでしょうか。

 「最近は、シェイエスではなくモンモランシーという別の議員が言ったという研究があります。それはともかく、そうした言い方の根底には、一院制が基本だという発想があるのではないかと思います。私自身は最近、この言葉に疑問を持っています」

 ――どういうことでしょうか。

 「第一院と第二院の関係性の…

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