【そもそも解説】放送法の政治的公平とは 処罰目的より「努力目標」
放送法の解釈を巡り、元首相補佐官が総務省に働きかけた経緯が記された文書を、総務省が行政文書と認めました。放送法とはどんな法律なのか、その中に定められた「政治的公平」はどのように判断されてきたのか、解説します。
Q 放送法はどんな法律?
A 敗戦後、日本がまだ占領されていた1950年にできた法律だ。戦前から政府に管理されていたラジオが戦争に協力する内容の放送をしてきたことを反省し、連合国軍総司令部(GHQ)が、新しい憲法に沿った民主的な放送が行われるように法律づくりを指示した。政府や政治が番組の内容に干渉しないようにするのが放送法の趣旨なんだ。
Q どんなことを定めているの?
A 第1条には、法律の目的として「放送を公共の福祉に適合するように規律し、その健全な発達を図ること」と掲げている。放送がどんな勢力にもかたよらない「不偏不党」や、権力に操られず独立して運営する「自律の保障」に基づいて、表現の自由を確保するように定めている。
Q どんな番組を放送するかも書いてあるの?
A 第3条では、放送する番組について「何人からも干渉され、又(また)は規律されることがない」と、番組編集は自由だと明記している。次の第4条では、番組編集について「公安及び善良な風俗を害しない」「政治的に公平である」「報道は事実をまげないでする」「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにする」と四つの基本方針を定めている。
Q そのルールが守られているか、問題になったことはないのかな。
A 93年に、テレビ朝日の…
- 【視点】
解釈を変えてはいないというのは、かなり苦しい説明と感じる。 『番組全体を見て判断する』というこれまでの解釈を補充的に説明し、より明確にした」と安倍首相が述べたとのことだが、「番組全体を見て判断する」としながら「1つの番組でもアウトにな

放送法めぐる総務省文書問題
放送法の政治的公平性をめぐる首相官邸側と総務省側の安倍政権下のやりとりを記した内部資料。総務省が公開するまでの経緯や問題点をまとめた特集ページはこちら。[もっと見る]