アフガニスタンの平等は「遠い夢」 元副議長「女性たちは団結を」
国際女性デーの3月8日から、朝日新聞を含む世界の報道機関14社は、ジェンダー平等社会の実現に向けた特集「#Towards Equality」を展開していきます。NPOスパークニュース(パリ)の呼びかけによるもので、各国のジェンダー平等の取り組みなどに関する記事を、世界で同じ時期に発信します。朝日新聞デジタルでも随時、記事を配信します。今回は、アフガニスタンのメディア「ハシュト・エ・スブ」からお届けします。
2021年8月にイスラム主義勢力タリバンが復権してから、アフガニスタンの女性を取り巻く環境は深刻に悪化している。新政権は、中学から大学まで、女子の入学を禁止。ほとんどの分野で就職も禁止するなど、女性の権利が奪われている。アフガニスタン議会の元副議長で女性の権利擁護活動家のファウジア・クーフィーさん(亡命中)に話を聞いた。
――タリバン政権下で女性の権利が奪われるなか、平等という概念について議論できますか。
絶対にできません。アフガニスタンにおいて、平等は残念ながら遠い夢です。タリバンの復権前、人々はメディアを通じて不満や意見を言えるようになってきていましたが、復権以降、正義や平等について話すことは禁止されています。
――アフガニスタンの女性の現状をどう考えていますか。
抑圧的な文化や頻繁な戦争など、アフガニスタンは独自の課題に直面しており、女性が社会を変える運動を起こすのは難しい。ですが、この文化を変えていくために女性たちは団結する重要性を理解する必要があります。
タリバンが女性に課している制限の多くは、宗教的な正当性がなく、単に権力を行使する手段にすぎません。
――男性はどうすべきだったのでしょうか。
学校に行けない娘を持つ父親など、女性の権利の制約に影響を受けてきた人たちの行動が期待されました。しかし、今のところダイナミックな市民運動は起きていません。
女子教育や女性の就労が制限されることは、本人だけではなく、アフガニスタンの社会基盤や人々の権利にも害を及ぼしています。このことに気づけば、男性も女性と一緒に変革のために闘うはずですが、国民はまだこの結論にたどりついていないようです。
――こうした環境を変えるために、どのような取り組みをしていますか。
女性の権利に関する様々な組織や運動がありますが、目標は一致していなければいけません。そのために、これらの団体をまとめ、国内外の人々と協働することに重点をおいています。
――最後にメッセージをお願いします。
アフガニスタンの女性たちは、今まで以上に団結する必要があります。歴史的に男性に頼ってきましたが、私は、女性たちは自分たちだけでできる力があるということを強調したい。変化を起こし、歴史をつくることができるのです。(アフガニスタン ハシュト・エ・スブ)

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