「サンモニ狙い撃ちにしてきた」 高市氏答弁「補充」とはいうけれど
記者コラム「多事奏論」 田玉恵美
どうして突然あんなことを言い出したのか。総務省の役人たちに聞いても、口が堅かったんだよね。
放送業界でそんな話が出るほど謎に包まれていた大臣答弁が、8年の時をへて再び注目を浴びることになった。その内幕がわかる内部資料を入手したとして、野党議員が先週、80ページ分の文書を公開したからだ。
高市早苗総務相(当時)は2015年、放送番組が放送法の求めるとおり政治的に公平な内容かどうか、ひとつの番組だけを見て判断する場合があると答弁した。翌年には、違反を繰り返せば電波を止めることもあると「停波」にまで言及している。
今回公表された文書には、高市氏がこの答弁を行う半年前から総務省の官僚らがその内容を練り上げていく様子が記されている。政府は文書の内容がすべて事実だとは認めていないが、当時の礒崎陽輔首相補佐官が強く要求した答弁だった様子がうかがえる。
政府はながらく、その局が放送する番組全体を見て判断するとの立場だった。それゆえ、高市氏の答弁は大きな路線変更に見えた。権力の監視が及び腰になるおそれもある。木ではなく森を見てほしいと日本民間放送連盟(民放連)は反論したし、日弁連なども「従来の見解と明らかに矛盾する」と当時厳しく批判した。
「揚げ足取られないように」
放送各社に、改めて高市答弁に対する受け止めを聞いた。NHKとテレビ朝日、フジテレビは影響はなかったと回答し、日本テレビとTBS、テレビ東京は影響の有無については直接こたえなかった。いずれにせよ、影響が出たと認めた社はない。
だが、あるTBS幹部は「サ…
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- 【視点】
今回の放送法を巡る問題を見ていて、3年前に総理番の記者たちが書いた記事を思い出しました。 「官邸、TVコメントを詳細記録 コロナ・桜を見る会など」(https://digital.asahi.com/articles/ASNCR6V2LN
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8年の時をへて再び注目を浴びることになった、という一文に、はたと思い出す出来事がある。 今回の「行政文書」の内容が動き出したとされる時期の9カ月ほど前、2014年2月のこと。沖縄への新たな自衛隊配備をめぐって起きた、政府から新聞報
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放送法めぐる総務省文書問題
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