「ブラッシュアップライフ」は時超えた傑作?三つのすごさを語ろう

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編集委員・大西若人
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 「いま、人生何周目?」

 こんな言葉が職場や学校で交わされているとしたら、それは12日午後10時半からの放送で最終回を迎える日本テレビ系のドラマ「ブラッシュアップライフ」の影響であることは間違いない。

 「時をかける少女」や「テセウスの船」「アシガール」と、タイムトラベル、タイムリープものの映画やドラマは数多く、このドラマも、その一つ。主人公の近藤麻美(安藤サクラ)が何度も生まれなおし、そのたびに過去の記憶を持ったまま赤ん坊から人生をブラッシュアップさせてゆくというコミカルなテイストの物語だ。

 この作品、ドラマ史に残る傑作、怪作、快作といっていい。とにもかくにも、バカリズムの脚本が、ディテールの妙と壮大なスケール感を備えて出色の出来。このドラマの魅力は、大きく三つの「すごさ」で語れる。

 まず、第1話の早い段階から見る者を魅了するのが、その日常性、というか、実によくできた会話のやり取りの「すごさ」だ。特に、麻美と、幼なじみの夏希(夏帆)、美穂(木南晴夏)の仲良し3人組のかわす会話は、くだらないながらも実にリアルで、まさに「あるある」の世界。微妙な空気を読みながら、ときに「ダメになっている同級生とかっていないのかな」と毒気もはらみ、基本的には楽しげでかわいい会話。これは岡田恵和脚本の「ひよっこ」の乙女寮あたりに通じる味わいといえるだろう。

 バカリズムは、原作・脚本を…

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