57年前の1966年に静岡県で一家4人が殺害された事件で、死刑が確定した袴田巌さん(87)の裁判やり直しを認めるかどうかについて、東京高裁が13日に判断する。袴田さんの再審開始を認めた2014年の静岡地裁決定から9年。当時の裁判長で、いまは弁護士として活動する村山浩昭氏(66)が、事件への思いと再審制度のあり方について語った。
《5点の衣類という最も重要な証拠が捜査機関によって捏造(ねつぞう)された疑いが相当程度ある。国家機関が無実の個人を陥れ、身体を拘束し続けたことになる》
《拘置をこれ以上継続することは、耐えがたいほど正義に反する。一刻も早く身柄を解放すべきである》
再審開始と袴田さんの釈放を認めた14年の静岡地裁の決定で、こう記した。裁判所がここまで強い言葉で捜査機関を批判するのは、極めて異例だった。
決定によって拘置も停止され、死刑が確定していた袴田さんは逮捕から48年ぶりに東京拘置所から釈放された。死刑囚が再審開始決定と同時に釈放されるのは初めてだった。
村山氏はこの決定について「…
- 【視点】
きょう、東京高裁が袴田巌さんの再審開始を認め、釈放を維持する決定を出したことを、喜びとともに受けとめました。 袴田さんは、長い間、名前を呼ばれる際、呼び捨て、あるいは「被告」「死刑囚」といった接尾語をつけられてきたと思います。「さん」
- 【視点】
2014年当時、静岡総局の記者として取材にかかわりました。再審開始だけでなく、袴田さんを釈放するという決定には、驚きもありましたが、袴田さんが釈放されたことの意義は大変大きかったと思います。 袴田事件については、資料を読めば読むほど、